故郷は農林漁業と共に 

※雨の中の苗出し作業(4月15日)。黄金色の秋の稲穂を目指して。

鳥海山の山肌に種まき爺さんが現れる頃、庄内地方の農作業は本格化する。

4月8日に立候補の表明をし、挨拶回りに追われる中、どうしても外せない行事があった。我が家の苗出し作業だ。稲作農家といえば、田植え、稲刈りの様子が思い浮かぶだろう。「苗出し」は田植えができる状態まで苗を育てるための準備作業だが、これに参加したことのない人は「?」な作業だろう。

今年は、4月15日、早朝から作業が行われ、地元のJA(農業協同組合)の職員さんも参加してくれた。JAの職員さんといっても、当然、非農家出身の方もいて、企画、金融、購買といったいわゆる事務業務に従事していれば、実際の農作業、農業現場の実態把握が十分に行き届かないとしても責めることはできない。そこで、組合長さんの発案で、庄内の春の農作業の代名詞である「苗出し」にJA職員を派遣することになったのだそうだ。農家は助かり、JA職員は現場を学べるWIN-WINの関係。とっても素晴らしいアイディアだ。

育苗の方法は、ほ場に簡易な育苗施設を作ったり、ハウスを活用したり、シートを被せて温度管理をしたり、水に浸したり、農家ごとに様々な工夫がされている。また経営規模も、私が最近お話を聞いた農家だけでも25ha、7ha、4haと様々だ。正に百聞は一見に如かずだ。

GWに入ると早いところでは田植えが始まる。そしてこの時期、地域では豊作を祈る祭りが行われる。5月4日に伺った羽黒町高寺地区で行われた高寺八講(たかでらはっこう)もその一つ。昭和51年に県の無形民俗文化財に指定された豊作を祈願する舞、神事だ。

農林漁業は確かに一つの産業だ。しかし、日々の生活に欠かせない食料を供給し、文化を継承し、自然環境と一体の、地域とともにある産業だ。英語では、プライマリー・インダストリー(Primary industry)。「一次産業」という日本語よりも、要の、不可欠な産業であるとの意味が伝わってくる。農林漁業をなくして故郷はない。巡り巡る季節の中で、故郷の祭りに参加するたびに、農業を始めとする一次産業を絶対に次の世代につなげて行かなければならない、との思いがこみ上げてくる。

地域経済を支えているのは働く人たち 

※メーデー大会でのあいさつ

4月29日、田川地区中央メーデー大会が開催された。メーデーの起源は、19世紀、米国での8時間労働の要求運動にさかのぼるそうだ。

鶴岡市商工観光部長、県議に続き、私も来賓としてご挨拶をさせていただいた。

鶴岡公園の桜は散ってしまったが、天神祭りへと向かうこの季節は、鶴岡がもっとも華やぐ季節だ。生憎の雨模様の空だったが、子ども連れの子育て世代の参加者が目立った。

人口減少が進む故郷に帰ってきて、何よりも大切だと感じたことは、やりがいのある、そして故郷の発展につながる仕事、職場があるということの重要性だ。言うまでもなく、地域経済、そして国の根幹を支えているのは、働く人、労働者だ。

しかしながら、その大切なこと、当たり前のことが、ややもすれば忘れられていないだろうか。①不安定な非正規雇用が増え、②長時間労働に悩まされ、③同一労働・同一賃金の実現が遅れる中での格差の問題が顕在化している。

私は、立候補表明の記者会見において、地域で働く皆様の経済・所得の問題を取り組みたい事項の1番目に上げている。地域で頑張る、製造、流通、サービス、商店街、交通、観光、飲食店、医療・福祉、建築・建設、農林漁業、そして公務員も、その地域経済を支えるいわば岩盤となる産業、その雇用・所得の安定に市役所を含む行政が寄り添うことが求められている。

私は、現在の対話に欠ける市政を転換し、働く人に代表される、幅広い市民の声に耳を傾ける「市民党」市政の確立を目指している。

①非正規雇用から正社員を増やし、購買力のある中間層を増やす

②また、中小企業への支援・融資を拡大し、新事業を起こす

こうしたことを推進する県民党の県政とも連携を取りながら、市役所でできることに全力で取り組みたいと考えている。

ホスピタリティを考える 

※暖かい笑いに包まれたエプロンシアターの様子

先日あるイベントに参加した時のこと。
玄関で、目の不自由な女性が杖を使い、慎重に進行方向を探しているのを見かけた。
「どちらまで?」と尋ねると、私が参加するイベントと同じ場所へ行きたいのだと言う。
イベントの開始時間までは少し時間があった。その時間を利用してお弁当を食べるので、「施設の中に適当な場所はないか」と尋ねられた。施設の管理人らしき人に確認すると「この施設は予約制なので、部屋の予約をしていなければ飲食はできません」ときっぱり。

私は、「そうですか」とだけ答え、女性を3階のイベント会場までご案内することとした。女性は時々施設の1階を訪れることがあるそうだが、3階は利用したことがなかったそうだ。右腕につかまった女性と歩きながら、目の不自由な方が3階に向かうのは大変なのだなと感じた。3階に到着すると、イベントの準備控室が空いていたので、女性にはそこで食事をしてもらうことにした。

また、先日、私の記者会見の前にこんなこともあった。記者会見のプレスリリースを市役所内の記者クラブに届けてもらおうと私の友人に頼んだところ、友人は市役所の職員に資料を持ち込んだのだそうだ。友人は職員から「市役所では対応できません」と言われ、一旦引き返している。友人が仕組みを知らなかったと言えばそれまでなのだが、市役所内に記者クラブがあり、そこに行くべきであることを教えてくれれば良かったのだが。

ホスピタリティ。ちょっとした気遣いとおもてなしの心。構造的な問題であれば是正するのに時間がかかるが、ほんのちょっとの心がけで、お互い気持ちよく過ごせることも多いように思う。市民目線で市民のために働くということは、日々の小さなことの積み重ねでもある。

女性と見たイベントのエプロンシアターは子どもから大人までを魅了する動きが行き届いていた。

おじいちゃん、おばあちゃん子だった私と元気なシニア

※元気なシニアの皆さんの笑顔に囲まれて

春は様々な総会のシーズン。高齢者の方の集まる会合からもお声がかかる。

私は、おじいちゃん、おばあちゃん子だった。大好きだった祖父・哲郎は2007年に、祖母・栗は2012年に他界している。

祖父の葬儀には、米国シカゴの総領事館勤務だったため参列できなかった。

小学生の夏、太陽が欠けていく日食の観察の仕方が分からない子ども達に、墨を塗ったガラスをこしらえてくれたおじいちゃん。ある時は、二人で自転車に乗って、杉林での作業に向かった。帰り道にときどきオレンジジュースを買ってくれた、やさしいおじいちゃん。

酔っぱらった時には、新聞紙を丸めて剣をつくり、本気でちゃんばらをしていた、お茶目なおじいちゃん。初月給をもらい、上京してきたおじいちゃんに張り切ってお昼ご飯をご馳走したこともあった。「おじいちゃん、どう?」と聞くまで、「おいしい」とも言わないで黙々と食べている、気の利かないおじいちゃん。僕の大切なおじいちゃん。

おじいちゃんがいつも、「俺はこうする、俺はこう生きる、という所信がなければ駄目だ。」と繰り返し話していたことを、私は今も大切にしている。大げさなくしゃみ、頑固なところ、自分の中におじいちゃんがいることを今も感じている。

先日伺った会合には、祖父が使っていたネクタイを締めて出かけた。運転免許の自主返納対策や買い物支援、医療・介護体制の充実など、課題は多い。まだまだ元気なシニアの皆さんの笑顔を守りたい、おじいちゃんとおばあちゃんに育ててもらった恩返しとして。

地域の未来は地域住民自身がつくる

※集落センターで自治会長さんとともに

8日の立候補の表明から暫くして、旧温海町の山間部の集落に伺った。

集落センターを訪問すると、雪囲いを取り外す作業が終盤に差しかかっていた。作業を終えた方々が、センターの一室に集まってくれた。皆、10月に向かって挑戦する決意を固めた私の話に興味津々だった。

この集落は、人口約300人、世帯数約80戸で、周辺の集落よりも比較的規模の大きな集落だ。しかしながら、10年前と比較すると人口では約16%、世帯数では約7%減少しており、高齢世帯や空き家の増加などが課題になっていた。

こうした状況の下で、集落では、中学生以上の住民にアンケートを行い、地域がどのような課題を抱えているのか調査を行った。更に住民が参画するワークショップを開催し、自由に意見を出し合いながら、①屋根の雪下ろし・除雪の支えあいの仕組みづくり、②集落の魅力の情報発信、③在来作物のブランド化、④先人の技と知恵の継承、などを取組み目標とする集落の「活性化ビジョン」を取りまとめている。この「活性化ビジョン」には、年次別の行動計画まで含まれていた。

「活性化ビジョン」の策定には市職員も参画していたが、あくまでも集落の一員としての参画であり、集落の住民自らが立ち上がり、まとめたものとなっている。

地域の未来は誰がつくるのだろうか。それは地域住民自身に他ならない。合併から11年が経過し、旧鶴岡市と旧町村との関係が、当初描いたものとはなっていないとの指摘がある。住民に身近な行政サービスを提供するという観点からは、旧町村の権限と財源が不十分だという課題もある。そうした大きな枠組みの議論ととともに、意欲ある集落、地域の動きを後押しすることの重要性、行政の大事な役割はそこにあるということを改めて考えさせられた訪問だった。

鶴岡市長選挙への立候補表明について

 

鶴岡市長選挙への立候補表明について

日 時:平成29年4月8日(土)13時30分~
場 所:鶴岡市総合保健福祉センター「にこふる」内
3階保健センター大会議室1

本年秋の市長選挙について、記者会見を行いました。表明時の発言概要を掲載します。

1.私は、鶴岡で生まれ、高校生まで、家族、友人、地域の方々と、この豊かな自然と調和し、歴史と文化の薫る誇るべきまち・鶴岡で過ごしました。大学進学後は、東京、福岡、米国シカゴでの17年間の公務員生活を経て、3年前に家族4人で故郷に帰って参りました。
今、鶴岡市政は、「人口の減少」や「インフラの老朽化」、「格差」など多くの課題に直面しています。新文化会館の整備・利活用の問題、ごみ処理をめぐる近隣自治体との関係など、政治への信頼に揺らぎが見られます。

2.このような中で、市政への新鮮な風、鶴岡を変える新しい風に期待する声があると承知しています。
私は、3月末に、Uターン後約3年間勤務させていただいた大学を退職致しました。
故郷の発展を願う一人として、対話を重視し、これまで培って来た経験を活かし、また、子育て世代の代表として、鶴岡が抱える課題に真正面から取り組みたい、と考えております。
そのため、本年10月に実施される予定の鶴岡市長選挙に立候補する意思を固めましたので、ご報告させていただきます。

3.この決意に際し、私が特に重視していることを3つ、申し上げたいと思います。
(1)一つは、対話に欠ける現市政の転換であります。新文化会館の整備に象徴される現在の市政は、これまで先人が築き上げてきた鶴岡のイメージを損なうもの。市民の多様な声に耳を傾け、時に耳の痛い話にも向き合う、地域が抱える課題に寄り添う市政に転換したいと思います。

(2)二つ目は、「市民党」市政の確立です。
① 市政を党派間の争いの場とせず、多様な市民が参画でき るいわゆる「市民党」の公平・中立なものにし、
② オール鶴岡で市民が協働するまち、そして市民が暮らし やすい、「鶴岡さ住んで幸せだの!」と思えるまち
をつくります。
市民が自由闊達に意見を出し合い、しがらみを超えて堂々と政策論争を展開する、チームメイトはもちろん、ライバルを含む全ての関係者に敬意を払う心(英語で恐縮ですが「リスペクト」)を取り戻す市政にします。
(3)三つ目として、市民が「幸せだの!」と思える鶴岡を実現するための具体的な政策の骨格についてお話させていただきます。
私は、市民の生命(いのち)・安全の確保を最優先するとともに、情報公開、市民との情報共有を推進しつつ、「対話と協働で取り組む5つのプロジェクト」を推進していきたいと考えております。
① 5つのプロジェクトの一点目は、「域内イノベーションによる循環型経済の構築」です。
地域外との交流を活発にしつつも、地域の中で人・モ ノ・資金がうまく循環する経済を確立し、所得の増大と雇用の創出を図ります。
② 二点目は「高齢者も障がい者も全ての市民が安心して暮らせる、いのちと暮らしを守る市政の実現」です。
市民の負担軽減を目指しつつ、荘内病院の充実を含む包括的な医療・福祉体制の構築や、格差の是正等に取り組みます。
③ 三点目は「オンリーワンの文化都市の継承」です。
新文化会館については、地元業者の活用、合意形成の在り方など多くの課題が残りました。現在も様々な意見が出され、検証の過程にありますが、いずれにせよ新文化会館は完成します。合唱、読書など鶴岡が誇る知的文化資源を次世代に継承する観点から、これを最大限活用するなど、未来志向の対応を進めます。
④ 4点目は「教育・子育て環境の整備」です。
私自身、高校生・中学生の子どもを持つ子育て世代です。その子育て世代の代表として、教育現場との対話を重視し、子どもたちがいきいきと学べ、また、出産後も安心して働けるような環境整備を推進します。
⑤ 5点目は、「旧町村の歴史や資源を活かすまちづくり」です。
平成17年の6市町村による合併から11年が経過しましたが、「その成果が見えない」との声を聞きます。活力ある旧町村を取り戻す観点から、旧町村に精通した職員の育成や、旧町村に一定の権限と財源を移譲することを争点の一つにしたいと思います。

以上が、私が現時点で考える立候補の意思の表明に際しての「基本的な考え方」です。詳細な公約は、今後、多様な市民との対話を重ね、市民とともに練り上げていきたいと考えております。
現市長の新しい公約も拝見させていただいた上で、市民が参画する新しいスタイルで8月を目途に詳細公約を練り上げ、最小の経費で最大の効果をあげるという原則を徹底しつつ、しかし、効率よりも人財の定着を優先させ、次世代にたすきをつなぐ責任を果たしていきたい、と考えております。

4.最後に、「今回の選挙戦をどのような体制で戦うのか?」ということについて述べたいと思います。
「中心」は、きょう同席して下さっている、働き盛りで、それぞれが地域を盛り上げようと頑張っている、私と同年代の皆さんです。ただ、初めての選挙という事もあり、経験不足な点、未熟な点も出てくると思います。
幸いな事に、私の父の同級生など、各分野で鶴岡を牽引してきた諸先輩方が「チカラを貸しましょう」と声を上げて下さっています。そのような諸先輩方の心強いバックアップを頂き、総力戦で堂々と政策論争を展開していきたいと思っています。
「若手が先頭に立ち、経験豊富なシニア世代が支える」これこそが、私が目指す″鶴岡の街づくりのカタチ″でもあります。

以上、何卒よろしくお願い申し上げます。